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論文

佐野 裕亮先生(国立がん研究センター中央病院)の論文が掲載されました

Paper Information

Comparison of chemoradiotherapy and gemcitabine plus nab-paclitaxel for locally advanced pancreatic cancer: an integrated analysis of two randomized phase II trials (JCOG2408A)

Authors

Yusuke Sano, Riku Kajikawa, Junki Mizusawa, Tatsuya Ioka, Masato Ozaka, Satoaki Nakamura, Yoshinori Ito, Junji Furuse, Satoshi Kobayashi, Haruhiko Fukuda, Takuji Okusaka, Masafumi Ikeda, Haruo Miwa, Naoki Sasahira, Fumio Nagashima, Kazuyoshi Ohkawa, Kentaro Yamazaki, Masashi Kanai, Taro Yamashita, Kazuo Hara, Yukiko Takayama, Yoshito Komatsu, Nao Fujimori, Naoki Hama, Ken Kamata, Terumasa Hisano, Satoshi Shimizu, Kazutoshi Tobimatsu, Shin Maeda, Makoto Ueno

Journal

BMC Cancer. 2026 Feb 10.

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A

Abstract

背景と目的:局所進行膵臓がん(LAPC)の治療には、現在、主に化学放射線療法と全身化学療法の2つの治療法が用いられていますが、どちらの治療法がより有望なのか、あるいはこれらの治療法がLAPCの治療において代替療法または補完療法として考慮されるべきなのかは、依然として不明です。本研究では、LAPC患者を対象に、S-1と同時放射線療法(S-1 + RT)およびゲムシタビンとナブパクリタキセル(GnP)の併用療法における臨床転帰と安全性を評価することを目的としました。

方法:日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG1106およびJCOG1407)が実施した2つの多施設共同無作為化第II相試験から得られた個々の患者データを用いた統合探索的解析を実施しました。S-1 + RTとGnPを、それぞれ化学放射線療法と全身化学療法の有望なレジメンとして選択し、主要評価項目を無増悪生存期間(PFS)として解析を行いました。2群間のベースラインの不均衡を考慮するため、傾向スコアに基づいて安定化重みを用いた逆確率重み付け(IPTW)を適用しました。

結果:合計113名の患者が対象となりました。IPTWによる調整後、S-1 + RT群とGnP群の比較において、PFS中央値は10.2ヶ月 vs. 9.3ヶ月(HR 0.88)、全生存期間(OS)は19.1ヶ月 vs. 21.2ヶ月(HR 0.73)、遠隔転移のない生存期間(DMFS)中央値は11.5ヶ月 vs. 13.1ヶ月(HR 0.73)でした。プロトコル治療後の治療内容は大きく異なり、S-1 + RT群では77.5%が単剤化学療法を受けたのに対し、GnP群では50.0%が多剤併用化学療法や化学放射線療法を含むより集中的な治療を受けました。

結論:GnPは微小転移の抑制に利点をもたらす可能性があり、一方S-1 + RTは局所病変の制御に利点をもたらす可能性があります。これらの知見は、両アプローチがLAPCに対する重要かつ相補的な治療選択肢であることを示唆しています。最適な初期治療戦略を決定するためには、さらなる前向き無作為化試験が必要です。

佐野 裕亮先生のコメント

局所進行膵癌に対する治療には,化学放射線療法と全身化学療法がありますが,いずれがより有効であるかについては,現時点で明確な結論は得られていません. 本研究では,局所進行膵癌を対象とした2つのランダム化第II相試験である,JCOG1106「局所進行膵癌に対するS-1併用放射線療法における導入化学療法の意義に関するランダム化第II相試験」と,JCOG1407「局所進行膵癌を対象としたmodified FOLFIRINOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法のランダム化第II相試験」の統合解析を行い,S-1併用放射線療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用(GnP)療法の有効性・安全性を比較検討しました. その結果,GnP療法は微小転移の抑制において���位性を示す可能性がある一方で,S-1併用放射線療法は局所病変の制御に有益である可能性が示唆されました. 最後に,本研究の立案から論文化に至るまでご指導いただきました,神奈川県立がんセンターの小林先生,上野先生,ならびに前田教授に心より感謝申し上げます。

佐野 裕亮