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論文

渋井 俊祐先生(北里研究所)の論文が掲載されました

Paper Information

Anti-Integrin αvβ6 Autoantibodies Predict Response and Treatment Persistence to Advanced Therapies in Ulcerative Colitis

Authors

Shunsuke Shibui, Kunio Asonuma, Satoshi Kuronuma, Shinji Okabayashi, Akira Nogami, Moeko Komatsu, Kanade Serizawa, Satoko Umeda, Shintaro Sagami, Galia Berman, Osamu Takeuchi, Masaru Nakano, Toshifumi Hibi, Nitsan Maharshak, Shin Maeda, Taku Kobayashi

Journal

Clin Transl Gastroenterol. 2026 Feb 3.

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A

Abstract

背景と目的:抗インテグリンαvβ6(anti-αvβ6)自己抗体は、潰瘍性大腸炎(UC)の診断バイオマーカーとして、また予後不良との関連が知られています。本研究では、中等症から重症の活動期UC患者において、この抗体価が分子標的薬やJAK阻害薬などのアドバンス治療(Advanced Therapies)の治療効果を予測できるかどうかを検証しました。

方法:アドバンス治療開始時に前向きに収集された血清サンプルを用い、抗αvβ6自己抗体価を測定しました。主要評価項目を1年までの治療継続率、副次評価項目を各週(2, 6, 14, 24, 48週)における臨床的寛解率とし、抗体価の低値群と高値群で比較解析を行いました。

結果・結論:144名の患者を解析した結果、抗体価低値群では高値群と比較して治療継続率が有意に高いことが示されました(p = 0.002)。多変量解析においても、低抗体価は独立した治療継続の予測因子でした。臨床的寛解率もすべての評価時点で低値群において一貫して高く、特に6週目では顕著な差(47.5% vs. 20.0%)が認められました。以上の結果から、抗αvβ6自己抗体は活動期UC患者における治療効果および継続性を予測する有用なバイオマーカーである可能性が示唆されました。

渋井俊祐先生のコメント

潰瘍性大腸炎の治療は、生物学的製剤やヤヌスキナーゼ阻害薬をはじめとする新規治療薬(advanced therapy)の登場により大きく進歩してきました.しかし,これらの治療薬が奏功するか否かを治療開始前に予測することは,依然として困難です. 近年,抗インテグリンαvβ6抗体は潰瘍性大腸炎における血清診断バイオマーカーとして注目されています.本研究では,advanced therapy開始時に測定した抗αvβ6抗体が治療効果を予測し得るかについて検討しました. 解析の結果,抗αvβ6抗体値が低い群では,高い群と比較して1年間の治療継続率が有意に高く,臨床的寛解率も一貫して高いことが明らかとなりました.さらに,本抗体はCRPなどの従来の炎症指標とは独立した予測因子であり,患者ごとに最適な治療戦略を立案するための新たなバイオマーカーとして,今後の臨床応用が期待されます. 本研究はDDW 2025にて口頭発表を行い,AOCC 2025ではTravel Awardを受賞することができました.研究デザインの構築から学会発表,論文化に至るまで多大なるご指導を賜りました北里研究所病院の先生方ならびに前田教授に,この場をお借りして心より感謝申し上げます.

渋井俊祐