Paper Information
Traction-band clip-assisted biliary cannulation for a papilla located in the horizontal limb after total gastrectomy
Authors
Haruo Miwa, Yugo Ishino, Kazuki Endo, Ritsuko Oishi, Yuichi Suzuki, Hiromi Tsuchiya, Shin Maeda
Journal
Endoscopy. 2026 Mar;58(S 01):E184-E185.
A
Abstract
背景と目的:胃全摘後の再建腸管におけるバルーン内視鏡下ERCP(BE-ERCP)での胆管挿管は、乳頭が解剖学的に特異な位置にある場合、極めて困難となる。本報告では、乳頭が水平脚に位置し、高度な可動性により挿管に難渋した胃全摘後の症例に対し、トラクションバンド付きクリップを用いて乳頭を安定させ、挿管を成功させた新しい技術を提示した。
方法:Roux-en-Y再建を伴う胃全摘後の78歳男性。乳頭が水平脚に位置し、通常の処置用具では可動性を制御できず挿管困難であった。SureClip Traction Bandを乳頭の肛門側に留置し、別のクリップでバンドを牽引・回転させて十二指腸壁に固定。追加のクリップでカウンター・トラクションをかけることで、乳頭を十分に安定化させた。
結果・結論:トラクションバンドシステムによる固定後、乳頭の可動性が抑制され、ダブルガイドワイヤー法(double-guidewire technique)を用いて選択的胆管挿管に成功した。本手法は、術後再建腸管例における困難な胆管挿管を克服するための、低侵襲で有効な代替手段となり得ることが示唆された。
三輪 治生先生のコメント
術後再建腸管に対するERCPは,結石治療や胆道ドレナージはinterventional EUSに置き換わりつつありますが,診断目的のERCPについては代替治療がありません.この度,胃全摘後の胆管癌が疑われたものの,乳頭が水平脚に開口しており胆管挿管に難渋した症例を経験したため,E-videoとして報告しております.
当院では術後の胆管挿管困難時には,回転式パピロトームやUnevenカテーテルを使用しておりますが,本例は可動性が高く膵管挿管も難しいため打開策のない状態でした.このため,憩室内乳頭で使用経験のあるトラクションバンド付きSure Clipを使用して乳頭を肛門側に向けて固定したのち,Double guidewire tehcniqueを用いて胆管挿管に成功しました.
バルーン内視鏡下ERCPでの同様の使用例はこれまでに報告がなく,通常消化管と異なり真っ直ぐ牽引するとクリップからバンドが外れてしまい難渋しました.このため,バンドを把持したクリップを回転させることでバンドを牽引することに成功し,有効な固定が可能となりました.
すでに確立された手技であるERCPでも,まだまだ工夫が眠っていることを実感する症例でした.困難例の介助をしてくれたスタッフとご指導いただきました前田教授に感謝いたします.
(三輪 治生)