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論文

池田 良輔先生(附属病院・助教)の論文が掲載されました

Paper Information

Feasibility of Endoscopic Closure Method Using Low Cost Clips With Thread for Post Gastric Endoscopic Submucosal Dissection: A Pilot Study

Authors

Ryosuke Ikeda, Hiroaki Kaneko, Hiroki Sato, Yuto Matsuoka, Tomomi Hamaguchi, Aya Ikeda, Yoshihiro Goda, Soichiro Sue, Kuniyasu Irie, Shin Maeda

Journal

JGH Open. 2026 Feb 27;10(3):e70376.

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A

Abstract

背景と目的:胃内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の潰瘍縫縮は、遅発性出血の予防に有用であるが、専用デバイス(Sure clip、Mantis clip等)は高価であり、診療報酬上の赤字を招くジレンマがある。本研究では、安価なEZclipとナイロン糸を用いた「Low-cost clip closure method (LoCC method)」の実現可能性と費用対効果を評価した。

方法:2024年9月から2025年7月の間に胃ESDを受けた症例において、LoCC法を用いて粘膜欠損の閉鎖を行った。主要評価項目を完全閉鎖率、副次評価項目を閉鎖時間、コスト、術後1日目の維持率とした。

結果・結論:完全閉鎖率は90.0%、術後1日目の持続閉鎖率は85.0%であった。コストの中央値は約19,500円であり、従来のROLM法(約50,500円)と比較して約1/3の費用に抑えることができた。LoCC法は、高価な器具を必要とせず、高い技術的実現性と優れた費用対効果を有する実用的な手法であることが示唆された。

池田良輔先生のコメント

今回低コストのEZclipを用いた胃ESD後潰瘍の縫縮法の実現可能性を検討した論文を報告致しました。 昨今、胃ESD後潰瘍の縫縮は学会でもtopicではありますが、ROLMのためのSure clip、Mantis clip、EHS、OTSCなどいずれも高額であり、せっかく胃ESDを行って出血予防に縫縮までしたのに縫縮にコストをかけた結果、最終的に診療報酬が赤字になってしまうというジレンマが問題です。 この背景を元になるべく縫縮のコストをかけず、かつ縫縮がしばらく維持されるような方法として、EZclipとナイロンを使用して縫縮したLow-cost clip closure method (LoCC method)を考案し、その実現可能性を検証致しました。 結果としては縫縮成功率は90%、翌日の縫縮維持は85%と他の縫縮法と比べてもまずまず良好な成績となりました。またコストは中央値19,500円であり、これをSure clipで行うROLMで行った場合は50,500円程度と、約1/3の費用で行う事ができました。 手技自体もある程度の慣れは必要ですがそこまで複雑ではないので、今まで縫縮をしたくてもSure clipをたくさん使うのに値段的に抵抗があったり、Sure clipを大量に常備していない施設でも選択肢として考えてもいいかもしれません。ぜひ検討頂けましたら幸いです。 なお今回の報告は私自身の中で10本目と一つの区切りの論文でした。コンセプト作りから症例集め、論文作成まで、ゼロから始めてこうして形にできた事に達成感を感じつつも、附属にいる間でぎりぎりacceptされた事に安堵しております。 もちろん私自身だけで達成できた訳ではなく、改めて縫縮時に快く協力して頂いた内視鏡室の看護師の皆様、そしていつも論文作成に御助言を頂いている前田教授にこの場を借りて深くお礼を申し上げます。

池田良輔